予測することの難しさ(1)
果たして、未来はどこまで正確に予測できるのでしょうか?
今日はそんなお話です。
高校で物理を勉強した方は、ニュートンの運動方程式というのを習ったと思います。式を書くと F=ma というやつです。
知らない方のために式の意味を簡単に説明すると、
・Fは力の大きさ
・mはその物体の質量(よく分からない方は「重さ」のことだと思っておいてください。本当は全然違いますが)
・aは加速度(速度がどれだけ急に変化するか)
としたときに、この3つの間にはつねに F=ma という関係が成り立ちますよ、ということです。
まあ、細かいことは今はどうでもいいんです。この方程式から言えるとても重要なことは、「その物体の質量とはたらく力さえ正確に分かれば、その物体の動きを完璧に予測できる」ということです。
例えば、今目の前に静止している質量1kgのボールがあるとします。
そのボールを、最初の5秒間は10N(←ニュートン。力の大きさの単位)の力で北へ、それ以降は20Nの力で西へ引っ張り続けるとします。(それ以外の力は一切かからないとします)
これだけの情報があれば、そのボールが何秒後にどの位置にあるかが正確に計算できてしまうのです。
・・・と、いうことは。
この宇宙にある全ての物質について、運動方程式を立てて、それを解いてあげれば、未来が予測できる!ということになります。
果たして、運動方程式で未来は予測できるのでしょうか?
残念ながらそんなことは難しそうです。
1つ目の理由は、とてもじゃないけどこの宇宙の全ての物質の運動方程式なんて考えきれないからです。例えば粉砂糖ぐらいのサイズの空間の中にも、酸素分子は100000000000000000000000000000000個ぐらい詰まっています。未来を完璧に予測したければ、それらの分子ひとつひとつの運動方程式を立てて解かないといけないわけですが、そんなの正気の沙汰ではありませんね。
これだけでも理由としてはもう十分そうですね。
しかし!
百歩譲ってもしこの問題が解決したとしても、まだまだ私たちの前には様々な壁が立ちふさがっているのです。
続きはまた明日。